ハシゴのような階段を上がると細胞分裂を繰り返したように
数々の生きた写真がそこにある。
男はまるで自分の部屋にいるみたいにリラックスしていて
いつもの笑みを浮かべる。
アリとキリギリスの話なんて例えが悪すぎるけど
撮り続けた者だけが持てる部屋。
オモチャ箱をひっくり返したような夢いっぱいの屋根裏部屋。
炎のように熱く、そして氷のように冷たくも見える写真達。
作品とは反比例するように人あたりのやわらかい男のおかげで
屋根裏部屋の肌触りに慣れるのに時間はかからない。
写真という分身を晒け出しているので男はある意味ハダカだ。
その男を撮らせてもらい話に夢中になる私の陶酔は値切られた
現実のように哀れだけど仕組まれた嘘の告白のようにときめいたりもする。
あまりにも愉しかったので展示作品観るの忘れちゃったよ。
Hey, get a look at the works.
It's my exhibition.
Yukio Inazuka
っつーか展示観ろよ。個展なんだから。
秂 行雄